エルメスの伝説: バーキンとケリーの背後に隠されたストーリー

エルメスの歴史的背景

1837年: フランス、パリでエルメスはティエリ・エルメスによって創業されます。最初は高級馬具の製造を手がける専門の工房としてスタートした。その高品質な製品は、欧州の貴族や王族からも支持されました。

1920年代: 3代目のエミール=モーリス・エルメスの下で、ブランドは馬具だけでなく、レザーグッズ、バッグ、トランク、手袋などの製造にも進出します。この頃、世界中の交通が急速に発展し、自動車や列車、飛行機が一般的になる中、エルメスは移動手段とともに使える品々を提供することを意識しました。

1930年代: エルメスは最初の「カリーシェ」シルクスカーフを発表。それは即座にヒットとなり、エルメスのアイコンとして今日まで親しまれています。またこの頃、後に「ケリーバッグ」として知られるようになる「Haut à courroies」が誕生しました。

1950年代: グレース・ケリーが「Haut à courroies」を持っている姿がメディアに取り上げられ、このバッグは「ケリーバッグ」として世界的に知られるようになります。

1970年-1980年: エルメスはさまざまなアクセサリーや時計、衣服などの商品を発表し、ブランドの製品ラインアップを大きく広げました。

1980年代: ジェーン・バーキンとエルメスのCEO、ジャン=ルイ・デュマとの出会いをきっかけに「バーキンバッグ」が誕生します。

1990年代-2000年代: エルメスは全世界での展開を強化。アジア市場を中心にブティックを増やし、グローバルな高級ブランドとしての地位を確立しました。

現在: エルメスは、伝統的な手仕事を守りつつも、新しいデザインや技法を取り入れている。その独特のエレガンスと上質さは、世界中のファッション愛好者から絶大な支持を受けています。

バーキン: 高級感と歴史の象徴

1981年、ジェーン・バーキンというイギリス出身の女優と歌手がパリへの飛行機の中で偶然、エルメスの当時のCEO、ジャン=ルイ・デュマと隣同士に座ることになった。この出会いが、後にファッション界のアイコンとなるバーキンバッグの誕生に繋がることになる。

当時、ジェーン・バーキンは自身の手帳や他のアイテムを入れるための適切なサイズのバッグを探していた。彼女は旅行中に自身の荷物を入れていたストローバッグの内容物が散乱するアクシデントを経験しており、その話を飛行機の中でデュマに語った。彼女は理想のバッグが見つからないことを不満に思っていた。

この出会いをきっかけに、デュマはエルメスの職人たちと共にジェーンの要望を元に新しいデザインのバッグを製作することを決意。それは、日常使いから旅行まで幅広く使用でき、エレガントかつ機能的なバッグを目指していた。

約2年後の1984年、完成したバッグがジェーン・バーキンの手に渡る。このバッグは彼女の名を冠して「バーキンバッグ」と名付けられ、その後、世界中のセレブやファッション愛好者たちの間で大変な人気を博することとなった。


バーキンバッグは、そのエレガンスと実用性、そしてエルメスの伝統的な手仕事を体現するアイテムとして、今日までその地位を保ち続けています。一つ一つが手作業で製造されるこのバッグは、長い時間をかけて愛され続けることが確実視されており、投資としての価値も非常に高いと言われています。

ケリーバッグ: エレガンスの絶頂

誕生の背景: ケリーバッグはもともと1920年代にエルメスで「Haut à courroies」として誕生しました。このバッグは当初、騎手たちが乗馬ブーツや鞭を収納するためのものとしてデザインされました。シンプルかつ実用的なデザインが特徴で、その後も変わらぬ人気を保っていました。

名前の由来: 1950年代に、モナコ公国の公妃であるグレース・ケリーがこのバッグを愛用したことから、世界中で「ケリーバッグ」として知られるようになりました。彼女が妊娠しており、お腹を隠すためにこのバッグを使用した写真がメディアに取り上げられたのがきっかけです。

デザインの魅力: ケリーバッグの最大の魅力はそのシンプルで洗練されたデザインにあります。トロカデロ錠、専用のキー、そしてレザー製のベルトが特徴的で、バッグの形は直線的でありながらも、柔らかな曲線がエレガンスを引き立てます。内部には小物を収納するためのポケットも備えられており、機能性も考慮されています。

エルメスの製法: 職人技の粋

エルメスのバッグは、その卓越した職人技と高品質な素材の選択によって、世界中の人々から高く評価されています。バーキンやケリーをはじめとするバッグは、一つ一つ手作業で製作され、その精巧さと独特の美しさは他のブランドとは一線を画しています。

エルメスのバッグと一人の職人

エルメスのアトリエにおいて、バッグ一つの製作を担当するのは、一人の職人です。一般的な大量生産の工場とは異なり、エルメスでは一人の職人が一つのバッグを最初から最後まで手掛けるという伝統的な製法を継続しています。

  1. 一人一つの製品: 職人は製作するバッグの全工程を自らの手で行います。カット、縫製、仕上げまで、全てがその職人の責任の下に行われます。これにより、職人の技術と魂がバッグ一つ一つに込められるのです。
  2. シグネチャー: 職人が一つのバッグを完成させると、内部に自らの刻印やサインを入れることが許されています。これにより、そのバッグがどの職人によって作られたものであるかを知ることができます。消費者にとっても、これはその製品が高品質である証となります。
  3. 修理とアフターケア: 万が一、製品に何らかのトラブルやダメージが生じた場合、可能な限り、その製品を手掛けた職人自らが修理を行うことが求められます。これにより、製品のライフサイクルを通じてその品質が維持されるのです。