撥水と防水の違い【必見】バッグの撥水加工 7つのコツとは?

「撥水」と「防水」の違いってわかりにくいですよね。「撥水」は水をはじくイメージですが、「防水との違いは?」と問われると返答に困ってしまいます。

そこで本記事では撥水と防水の違いを詳しく解説。そのうえで日常よく使うバッグを例に「撥水加工のコツ7つ」と「濡れた時のお手入れ方法」を説明していきます。

撥水と防水の違いを理解できると、アウトドア製品や雨具を購入する際に役に立つメリットが。また、撥水スプレーを上手に使いこなせると、お気に入りのバッグがきれいな状態で長持ちします。

特に革製のバッグは日ごろのお手入れが大変ですが、面倒な方は撥水スプレーをかけておくだけでもある程度劣化を防ぐことが可能。

今まで何となくスルーしてきた「撥水と防水の違い」や「バッグの撥水対策」について、この機会にチェックしておきましょう。

撥水加工と防水加工の違い

「撥水加工」と「防水加工」の違いを簡単に説明すると次のようになります。

撥水加工・・・水がはじくように表面を加工

防水加工・・・生地の裏側まで水を通さない加工

それぞれの違いをわかりやすく解説していきます。

撥水加工とは

では撥水加工から見ていきましょう。

撥水加工の特徴

撥水加工とは、生地に水をはじく成分を付着させること。水を玉状にしてコロコロと転がり落ちるように加工します。

この「水をはじく成分」は表面に付着しているだけなので、繊維には隙間が残っている状態。だから「強い雨」や「水滴が小さい霧雨」が降ると、この隙間から水が浸透してしまいます。

撥水加工は水を完全に遮断できませんが、空気や蒸気がこの隙間から通り抜けるため、蒸れにくいのが長所です。

学生時代に自転車通学をしていた方は、使い古したレインコートがだんだん水を通すようになり、制服を濡らした経験があるのでは? 撥水加工は表面を加工しているだけなので、洗濯を繰り返すと撥水成分が剥がれ落ち、徐々に効果がなくなってくるのです。

このように撥水加工は通気性がありますが、水を防ぐ力が劣るのが特徴と言えます。

撥水加工のメリットデメリット

撥水加工のメリットとデメリットは次のとおり。

【撥水加工のメリット】

・蒸れにくい

・シミや汚れを防ぐ

・生地の縮みを抑える

・カビの発生を防ぐ

・自分で手軽に加工できる

【撥水加工のデメリット】

・洗濯すると徐々に効果が薄れる

・水を防ぐ力が弱い

・生地により変色する可能性がある

・生地の風合いが悪くなる場合がある

・ハイブランドのバッグや着物などは、業者に修理(仕立て直し)を断られる場合がある

このように撥水加工は「手軽に加工できて蒸れにくい」メリットがありますが、一方で生地にダメージを与えたり効果が長続きしなかったりするデメリットがあります。

それでは次に、防水加工にはどのような特徴があるのか見てみましょう。

防水加工とは

ここでは防水加工について解説していきます。

防水加工の特徴

防水加工とは、生地の裏側まで水を通さない加工のこと。防水加工製品の多くは、生地自体が水を通さないビニールやゴムなどの素材でできています。

防水加工は生地に隙間がないため、通気性がなくて蒸れやすいのが難点。しかし、強い雨でも完全に水の侵入を防げるのが特徴です。

ですから防水加工は撥水加工より「水を防ぐ力が強い」と言えるでしょう。

防水加工のメリットデメリット

防水加工のメリットとデメリットは次のとおり。

【防水加工のメリット】

・水を防ぐ力が強い

・効果が長持ちする

【防水加工のデメリット】

・蒸れやすい

・自宅で手軽に加工できない

このように、防水加工されている製品は完全に水の侵入を防ぐので安心できますが「蒸れやすい」というデメリットがあります。

撥水加工と防水加工の違い

紛らわしい撥水加工と防水加工ですが、最も大きな違いは「空気を通すかどうか」です。撥水加工は繊維に隙間が残っているので空気を通しますが、防水加工なら水はもちろん空気も通しません。

製品例で見る撥水と防水の違い

撥水加工と防水加工の製品例は次のとおり。

撥水加工の製品例:スノーウエア、一般的なダウンジャケット

防水加工の製品例:雨に強いタイプの、テント・タープ・レインコートなど。

スノーウエアやダウンジャケットは撥水加工で空気を通すため、蒸れにくくなっています。もしこれらの表地が通気性のない生地だったら、少し動いただけでじっとりと汗ばんでしまうでしょう。

一方、雨に強いタイプのテントは防水加工で空気も通さないため、必ず換気ができる仕組みになっています。

ちなみに傘やレインコートの加工方法は商品によってさまざま。例えば一般的な傘は撥水加工でビニール傘は防水加工です。

撥水加工や防水加工の視点で商品を比較できるようになると、買い物で失敗する可能性が減りそうですね。

購入時に注意すべきポイント

購入時に注意すべき点は、「防水」をうたっている商品でも実際は撥水加工だったり、ファスナー部分に防水加工がされていなくて水が漏れたりする可能性があること。

「撥水スプレー」が「防水スプレー」という名前で販売されているように、撥水と防水の境界はかなりあいまいです。

キャンプや登山など防水性を重視する場合は、十分に性能をチェックしてから購入しましょう。

蒸れない防水加工製品?!

ゴアテックスに代表される「透湿防水性素材」は、防水性と通気性という、相いれない機能を持ち合わせています。水は通さないのに空気だけ通すなんて不思議ですよね。

ゴアテックスの場合、分子の大きい水滴は通さず、分子の小さい水蒸気なら通す「小さな穴」が無数にある素材を使用しています。

「透湿防水性素材」は価格が高いのですが、高品質・高性能なのでアウトドア愛好家には大人気の素材です。

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以上、撥水加工と防水加工の違いについて解説しました。撥水と防水の違いを理解しておくと、目的に合った商品を選べるようになるでしょう。

ところで、あなたはバッグに撥水スプレーを使用したことがありますか? バッグに撥水スプレーを施すとさまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、次で確認してみましょう。

バッグに撥水加工をするメリットとは

大切なバッグに撥水加工をしておくと次のようなメリットがあります。

・シミがつきにくい

・汚れがついても落としやすい

・カビの発生を防ぐ

・濡れることによる色あせを防ぐ

・濡れることによる型崩れを防ぐ

・革の場合、ワックスやオイルより簡単に塗れる

・合皮の経年劣化を多少防げる

バッグに撥水加工をしておくと、こんなにたくさんのメリットが。「早速撥水スプレーを買ってこよう!」と思ったあなた。バッグを撥水加工する前に、チェックしておいていただきたいポイントがあります。

※注意:撥水スプレーは素材にダメージを与える場合があるので、目立たない部分で試してから使用してください。

バッグの撥水加工7つのコツ

バッグに撥水加工をする際には、あらかじめ知っておきたいコツが7つあります。

1.生地に合った撥水スプレーを使用

2.使用前のお手入れ

3.出かける直前はNG

4.撥水スプレーのかけ方

5.撥水スプレーの乾かし方

6.撥水スプレーの頻度

7.バッグは新品のうちに撥水加工しておく

それでは順に解説していきます。

コツ1.生地に合った撥水スプレーを使用

バッグに撥水スプレーを使用する場合は、必ず生地に合ったスプレーを選びましょう。撥水スプレーには大きく分けて「フッ素系」と「シリコン系」の2種類あります。

【フッ素系スプレー】

フッ素系スプレーは革製品を始め、多くの素材に使えるのがメリット。汚れは水性・油性ともにはじきます。値段は高めで、撥水効果が長持ちしないのがデメリット。

【シリコン系スプレー】

シリコン系スプレーは使用できる素材を選ぶので必ず説明書を確認してください。傘やレインコートなどにおすすめで、水性の汚れにのみ効果があります(油性には対応していません)。値段が安く、効果は強力で長持ちするのがメリット。

バッグに使用する場合は、基本多くの素材に対応しているフッ素系スプレーがおすすめです。ちなみに防水スプレーと撥水スプレーは、どちらも撥水加工を目的とした同じ種類の商品です。

 

コツ2.使用前のお手入れ

撥水スプレーを使用する前は、必ず汚れを落として乾燥させておきましょう。汚れたままスプレーすると、汚れをコーティングしてしまうだけでなく、撥水効果も弱くなります。

また、あらかじめ目立たないところに試しにスプレーして生地に変化がないか確認してください。まれに素材の質感が変わってしまったり、シミになったりするケースがあるので注意が必要です。

コツ3.出かける直前はNG

撥水加工をするタイミングは、使用する前日が理想。撥水スプレーは乾燥して初めて効果を発揮するので、出かける直前に「シューッ」とするのはNGです。

乾燥にかかる時間は撥水スプレーによって大きく異なるため、製品に記載されている使用方法を確認しましょう。

コツ4.撥水スプレーのかけ方

撥水スプレーは必ず屋外の風通しが良い場所で、マスクを着用して使用してください。これは、スプレーを吸い込むと呼吸器障害を起こす可能性があるからです。

窓を締め切ったお風呂場で撥水スプレーを使用して命を落とした、という例もあります。動物にも影響が出るので、鳥や犬、猫などペットにも注意が必要です。

撥水スプレーをかける手順は次のとおり。

1.柔らかい素材のバッグには、中に詰め物を入れて形を整えておく。

2.新聞紙などを広げてその上で作業する。

3.30cmくらい離して、全体にしっとりとするまで均一にスプレーをかける。

4.留め具や金属部分、ファスナーなどについているスプレーをふき取る。

5.日の当たらない場所で十分に乾燥させる

至近距離からかけると成分が固まって白くなる場合があるため、30cmくらい離してムラなく吹きかけましょう。

コツ5.撥水スプレーの乾かし方

撥水スプレーを使用した後は、直射日光の当たらない場所で乾燥させてください。太陽の光が当たると変色する可能性があります。

コツ6.撥水スプレーの頻度

撥水スプレーをかける頻度はバッグを使う回数にもよりますが、月に1回程度を目安にしましょう。本革の場合は質感が変わってしまう可能性があるので、あまり頻繁な使用はおすすめしません。

コツ7.バッグは新品のうちに撥水加工しておく

お気に入りのバッグは新品のうちに撥水スプレーをかけておくと、キレイな状態が長持ちします。ただし、本革で経年変化(エイジング)を楽しみたい方は、撥水スプレーで変化しにくくなる可能性があるため注意が必要です。

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以上、バッグに撥水加工をする時のコツ7つをご紹介しました。撥水スプレーを上手に使ってお気に入りのバッグを長持ちさせてくださいね。

さて、どんなに気をつけていても突然の雨でバッグを濡らしてしまうことはよくあります。そんな時はどのようにお手入れすればいいのでしょうか?

バッグが濡れた時のお手入れ方法

ここでは大切なバッグが濡れた時のお手入れ方法を、革製品とその他の素材に分けて解説します。

革のバッグが濡れた場合

革のバッグが濡れてしまった場合「撥水スプレーをかけているから」などと安心せずにすぐに水気をふき取りましょう。万が一撥水加工ができていない部分があると、水シミになってしまうからです。ふき取る時はこすらず、押さえるように水気を吸わせるのがコツ。

もし水シミができてしまった時は、慌てずに次の手順でお手入れしてください。

1.柔らかい布で全体を水拭きする(濡らしすぎ注意)

2.乾いた布で水気を取る(こすらない)

3.バッグの中にタオルを入れて形を整え、風通しの良い場所で陰干しする

4.ある程度乾いたら、専用の保護クリームやオイルで油分を補充する

慌ててドライヤーで乾かすのは、ひび割れの原因になるので厳禁です。できれば、雨の日には革製品を持ち歩かない方が良いでしょう。

革以外のバッグが濡れた場合

合成皮革、ナイロン、ポリエステルなどのバッグは水濡れに強いので、基本水気をふき取るだけでOK。あとは型崩れを防止するために、タオルなどの詰め物をして陰干ししましょう。

乾いたら汚れ防止や水濡れ防止のため、撥水スプレーをかけておくとバッグが長持ちします。

まとめ

本記事では「撥水加工と防水加工の違い」と「バッグに撥水加工をする際の7つのコツ」を詳しく解説しました。

撥水加工と防水加工は「空気を通すかどうか」が大きなポイント。空気を通す撥水加工は強い雨に打たれると水分も通してしまい、防水加工は空気を通さないので蒸れやすい特徴があります。

バッグに撥水加工をしておくと、きれいな状態を長く保てるのでおすすめ。ただし、スプレーするにはコツがいるため、加工する際はぜひ本記事を参考にしてください。

撥水加工をすることでバッグが長持ちするのなら「ずっと気になっていたあのバッグ」を買っても、長く使えるから無駄にならないかも。

本サイトにも自信をもっておすすめできるバッグを紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。